『箒星の組み紐』
本当はその日だけじゃなくても、毎日、本当は本当はサトシとずっと一緒にいたいよ。

なのに、あの日の放課後、サトシはあたしに……また突然、あの冷たい別れを……

どうして男はすぐに「別れる」って言うの! 心から信じていたのにサトシのことを……

サトシは突然、別れようなんて絶対に言わないって、あたし信じていたのに、どうしてなの? どうして……

ノゾミは湯船の中で膝を抱えながら、ぽたぽたと流れ落ちる涙を抑えられなかった。

しかし、サトシへの涙はあの時に感じた深海の絶望感がもたらす冷たい涙ではなく、

数々の感謝のこころが柔らかく包み込まれた温かい涙であった。
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