Fahrenheit -華氏- Ⅱ


―――は??


何が起こったのか、しばらくは理解できずに目をまばたいていたが、


「うわっ!消えちゃった!!何で!」と佐々木が声を上げ、唖然と画面を見つめている姿を目にして、はっと我に返った。


「す、すみません!」


二村が勢い込み、その足元には俺たち三人のパソコンを繋ぐコードが絡まっていた。


二村の足によってコンセントから引き抜かれている。




あ……あのコードは三人のパソコンの線であるわけで……




つまりは…


恐る恐る瑠華を見ると、


「Oh, my god…(そんな…)」


と、こちらは画面を見つめながら目をぱちぱちさせて放心していた。


開けた口が塞がらない、とはまさにこのことを言うのだろう。


なんて冷静に分析してる場合じゃねぇ!


「オーマイガっ!!!」


叫ぶように怒鳴ると、俺は頭を抱えて二村を睨みあげた。


「てめぇ!二村ぁ!!!何てことしてくれたんだ!!」


朝から作成していた稟議が、これで全部パー!


ありえねぇっつの!!!


「ぶ、部長落ち着いて…」なんて佐々木に宥められ、「バックアップはとってあるでしょう?」と俺よりも幾分か冷静な部下。


佐々木…お前、成長したなぁ。


なんて妙に感慨深げの俺。




だ~け~ど~



「俺のパソコン昨日から調子悪くて、会社のメインサーバーにバックアップを残せなくなってたんだよ!今日の午後裕二にメンテに来てもらうつもりだったけど」


「す、すみません!!」


俺の剣幕に二村はひたすらに平謝り。





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