Fahrenheit -華氏- Ⅱ

「No,no no no no」心音ちゃんは指を振って


「ゲーマーじゃなくて、Programmingよ。私はゲームをPlayする方じゃなくて作る方。


キミ、ゲームは好き?」


瑠華のデスクを興味深そうにしげしげ見やっていた心音ちゃんが、これまた優雅に長い髪を振り払い、佐々木ににっこり笑顔を向ける。


佐々木はそれだけでノックアウト寸前。まるでハリウッド映画から飛び出てきたような女優のような仕草と色気と美貌。


よろりとフラついて俺に寄りかかってきたが、俺はそれを寸でで避けた。


瑠華ならともかく!オトコから寄りかかれても嬉しかないっつうの!


俺が避けたことで肩すかしを食らった佐々木はそれでも態勢を整え、心音ちゃんをしげしげ。


「ゲームは……好きですけど、最近はマリオとかしか…」


佐々木がおずおずと(律儀に)答えて、その佐々木の返答に腕を組んでいた瑠華と、デスクに手を着いていた心音ちゃんが同じタイミングでピクリと眉を動かせた。


マリオ


確か、マリオにはルイージと言う弟が居る。マリオブラザーズだ。きっと誰もが知ってるそのワード。


『Brothers』


ヴァレンタイン兄弟に振り回されてきた(?)心音ちゃんの方はどうだか知らないけど、少なからずその言葉は二人にとって良い意味をもたらさなかっただろう。


ま、佐々木は知らなくて当然か。俺だって心音ちゃんから聞かなかったら知らなかったし。


「あ、それと顧客を回すこと以外にオプションで、この会社の社員が流す社内情報とかSNSでアップする前にブロックできるようにもしてあげられるわよ」


「へぇ…、そんなことまで?」


「今はネット社会だから。例えば上司の愚痴とか?小さなことでもClientに不信感を与えるわけにはいかないでしょ?それを全部事前にブロック。もちろんユーザーの鍵付きもブロックできるわよ」


心音ちゃんは両てのひらを左右に広げる仕草。


「そんなことできんの?でもそれ、俺の専門外…裕二に話してくれた方がいいと思うけど」


「そ?じゃぁその気があったらユージを紹介して♪いつでも相談に乗るわ」と、ありがた~い提案。てかそっちの方が俺にとってはありがたい内容だな。


「Ah……Mr.神流。瑠華をちょっとお借りしていいかしら?こちらの顧客は海外セレブたちが多いからきっと彼女の方が話が早いかと」


と、心音ちゃんはすぐににっこり笑顔に切り替えて、瑠華を目配せ。

< 643 / 654 >

この作品をシェア

pagetop