Fahrenheit -華氏- Ⅱ
「ふ~ん、きれーにしてるのね♪私のofficeとは大違い」
心音ちゃんは興味深そうに辺りをキョロキョロ。
「あんたのオフィスと一緒にしないで」と瑠華が少しだけ機嫌悪そうに腕を組む。
俺、瑠華の口から『あんた』なる単語を聞いたのはじめてだよ……俺だって言われたことないのに……
まぁ、それほど迷惑だってことだよな。
「部長…部長!」
と、すぐ隣で俺のスーツの裾を引っ張りながら佐々木に声を掛けられ
「誰ですか、あのすっごい美人!
僕は柏木さんから内線もらったときに、てっきり抜き打ちの内部監査が入ったのだと思って焦りましたよ」
と、でも目線は心音ちゃんの短いスカートの裾辺りを彷徨っている。
佐々木、お前も男だな。
確かに心音ちゃんは抜群のプロポーションだし、白くて細い太ももが見るからに美味そうだ。
佐々木が懸念した『内部監査』と言うのは神流グループだと年に二回入る。ただし次期は未定。けれど、監査が入る三日~一週間の間に入る旨の情報は回ってくる。
だから入る日に備えて処分しなけりゃいけない書類は処分するし、佐々木がやっていたように個人情報等の重要データは全て鍵の掛かる引き出しか、ロッカーに入れるのが正しい。
抜き打ちの場合、大抵理由は『不正会計などが強く疑われる部門』などに関して行われることが多くなる。
勘違いしないで欲しいが、我が部署は不正会計など一切していないのであしからず。
監査の流れとしては、顧客対応や商品管理がマニュアル通り行われているかなど。外勤営業を抱える部署では交通費・出張費などが正しく計上されているかなどを調べられる。
この時点で、判明した問題点や改善の余地のある点などについて部門の責任者と話し合いを持つのだ。
「でも、あの人どーみても監査官には見えないですよね」
「彼女は柏木さんの古くからの友人だそうだ…
確か……ゲーム会社に勤めてるって聞いたけど、大口の契約をしないか、って話を持ち込んできた」
「ゲーム会社ですか……うちとは畑違いですよね。でも…ゲーマー…??には見えませんよね。そういうのと縁遠そうな美人ですし」
と、佐々木は心音ちゃんの溢れ出さん色気に鼻血を拭き出す寸前って感じだな。
まぁ、童貞佐々木クンには心音ちゃんはハイレベル過ぎるよな。