Fahrenheit -華氏- Ⅱ

「How do you do?It's so nice to meet you.July also brought here, I'm happy.(御機嫌よう、会えて嬉しいわ。ユーリも連れてきてくれたのね)」


マックスの母ジェシカは快く迎え入れてくれた。


ジェシカは出会った当初からあたしに良くしてくれた。結婚する際も新しい家族を迎え入れることをとても歓迎してくれた。


彼女なら正直なことを話しても、あたしの悲しみや苦しみを分かってくれると思って居た。あたしはただ、味方が欲しかった。この日までは。


従業員の同情的な目ではなく、彼女ならあたしの苦しみや悲しみを本当に分かってくれる……


そう思っていたのに。


ヴァレンタインの格式ある本家で豪華なお屋敷の広いリビングに通され高級な紅茶を用意してくれて、彼女が焼いたと言うアップルパイを出してくれた。あたしは彼女の作ってくれるアップルパイが大好きだった。じっくりと煮詰めた甘いリンゴに、バターがたくさん入ったパイ生地が絶妙なのだ。


それをいただく前に高級な紅茶を口にしながら、ジェシカの方から切り出した。


「I'm sorry to hear that.About Max.(マックスの件、お気の毒だったわね)」


眉を寄せて神妙そうに紅茶を飲む姿は、まさに女王と言える程気品に溢れていた。


「Can I talk to you for a minute?(そのことで相談が……)」と切り出すと、マックスに注意する言葉を期待していたが、それは


次の言葉で、あたしの心を簡単に砕かすのに充分な一撃だった。


『Important to close eyes one or two of the cheating of a man. People with power and money have natural people come.(浮気の一つや二つ、目をつぶることも大事よ。権力やお金がある人間には自然人は寄ってくるもの)


Just think for a moment.There is nothing good for you even if you make a noise.(考えてみなさい?ここで騒ぎ立てても良いことなんて何一つないわ)


If you are thinking about divorce and are going to sue Max, you will be threw in by the power of Valentine.You have children and you have your company.(もしあなたが離婚を考えていて、マックスを告訴しようものなら、ヴァレンタインの力でねじ伏せられる。あなたには子供も居るし、ファーレンハイトだってある)


You should understood better you are smart.You should know what it means.(頭の良いあなたなら分かるはず。それが何を意味するのか)


Lose all or you fade away the emotions of the moment.(全て失うか、いっときの感情を仕舞いこむか)」



ジェシカは同情的なものではない、どこか楽しんでいるような微笑みをその完璧に整った美しい顏に浮かべて、ゆっくりとお茶のカップに口を付けた。


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