Fahrenheit -華氏- Ⅱ


その時だった。


「部長~♪」


軽い感じで俺を呼び駆け寄ってきたのは





二村だった。




二村の声を感じ取ったのであろう、瑞野さんは慌てて『降』ボタンを押し


「すみません、何でもありません」


と言い、二村が到着したときは、エレベーターはすでに7階に下っていった。


何だったんだ??


『あたしが……』の続きが気になる。


と首を捻って考えてると


「今帰りですか?」と二村が相変わらずの人懐っこさで聞いてくる。


「おう」


俺が短く返事をすると


「じゃぁ、下まで一緒しましょ~」と気軽に言われ


………


何を考えてやがる魔王二村。


俺はしげしげと二村の全身を見渡した。


二村も帰るところなのだろう、トレンチコートを羽織り俺の周りをうろうろ。


何だって言うんだ、こいつは。


昨日、瑠華の腕を振り払って怪我(←と言うのはいささか大げさだが)させておいて、飄々と俺の周りをうろつく、その神経をぶった切りたい。


それでもここは大人の対応だ。


大人の…


「部長、今度可愛い女の子がいるキャバクラ見つけたんで、一緒にどうですか~?


あ、でも部長が行ったら女の子総なめで、俺なんて振り向いてもくれないかな…」


と一人ブツブツ。


「行くかボケ!」


俺は素で怒鳴った。


「俺、言ったよな?彼女が居るって。そんでもってお前は“彼女”が居る。その状況で良くキャバクラとか言えるな」


「それとこれとは別ですよ~、いっつもかつ丼食べてると、たまには刺身食べたいな~てなりません??」


ならねぇよ。


俺はいっつもかき氷食ってる気分だがな。


それも今流行ってるふわふわのヤツじゃなくて昔ながらのガリガリするヤツ。


キーン…て歯にくるヤツ。


それがまたイイって言うか♪


じゃなくて!



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