Fahrenheit -華氏- Ⅱ
しかし、あたしが想定していた話とは全然違って
『ごめん、瑠華。なるべく隠しておきたかったんだけど』
と切り出されて、あたしの額に緊張が走った。
けれど
――――
―
「二村さんに、あたしたちの関係がバレた、と?
それが?」
思わず素で聞いてしまった。
『『それが?』ってそれだけ?』啓は電話の向こうで相当焦っている様子で声が上擦っている。
思わず額に手を置き小さなため息が漏れる。
「何度も言いましたよね。あたしたちの関係は決して後ろ指さされる関係ではない、と。今、知られたところで二村さんの何の得にも損にもなりませんし、
恐らくずっと前から気付いていたでしょう」
『そーなの!?』
このひとは……時々凄く鈍感だ。
でもそう言う抜けてるところが、結構好き。
「それほど重要視することもないので、ご安心を。しかし彼には充分警戒いたします。
ご報告ありがとうございます」
あたしはまるで日報のように締めくくり、通話を切った。.
心音はテーブルに頬杖を付きながらニヤニヤ。
「何、その意味深な笑顔は」
「あんたっていっつもケイトに対してそんな態度なの?」
“そんな態度”?
「事務的って言うか、そっけないと言うか」心音はうーんと小さく唸り首を傾ける。「昔はそんな風じゃなかったのに」
昔―――…とは一体いつのことを指すのだろう。