Fahrenheit -華氏- Ⅱ
オヤジの言葉で俺は少しだけ救われた気がした。
電話を切ったあとで
「あのひと、カウンセラーも向いてるんじゃ?」と独り言を漏らす。
ぐしゃぐしゃになった稟議書を鞄に強引に突っ込み、俺はベルスターを鳴らした。
すぐに店員はやってきた。
「すみません、生一つ」
車だったから飲むつもりはなかったけれど、帰りは代行でも頼もうかと。
つまり飲まなきゃやってらんねぇって状態だ。
二村の突き止めた事実と、条件。それに―――
『利用された』と言う言葉が一番キてる。
ただ、単に瑠華に問いただせばいいだけの話だ。俺は彼女を信じている。
たとえそれがどんなに汚い嘘でも、
俺は信じる。
ビールが運ばれてきたとほぼ同時だった。
「お連れ様、お見えです」
と別の店員の声が聞こえ
連れ―――…?また二村が戻ってきたのか?と構えたが
「神流部長―――……?」
薄手のコートを両手に持った
瑞野さんを見て、俺は目を開いた。