Fahrenheit -華氏- Ⅱ
濡れたままの髪をタオルでがしがしと拭ていると
「ほれ、これ飲んであったまったら?」と耐熱グラスに入った焼酎のお湯割りを渡してくれて
ホントお前、マジでいいヤツだな。と、いつになくじーんとなる。
「んで?何があったんだ?まぁ柏木さん絡みだろうな。
お前の『嘘だと言ってよ、ジョー』てふっるいネタが出てくるときは」
ギクッ!
と思ったが、
「違うし。てか今日綾子は?」
「いっつも一緒の言い方すんなよ。今日は別々」
「そうなの?毎日一緒に居たいとか思わないわけ?」
「んなのガキんときに卒業したよ。お互い“自分の時間”も必要だしな」
そう言うものなのか……
「お前の“恋”は初恋の七歳の時で止まったままなの。分かる?24時間365日一緒に居たいって気持ちは分かるけどな、経験してきたし、でもそれじゃお互いがんじがらめだろ?生きづらいって。
結婚したら勿論一緒にいる時間は長くなるだろうけど、でも一日の内の数時間は別行動だろうし、仕事をしてりゃ尚更だ。女同士、男同士で飲みにいったりすることもあるし、女なんて特に女同士で旅行とか行くだろ?
そうやってうまく息抜きすんの」
ソファに座った俺の隣に腰を下ろしながら自身は缶ビールのプルタブを開けながら言って
裕二……
「お前、俺が思うよりずっと大人だな!」
「バカにしてんのか!今すぐ追い出すぞ!」
「ま、待って!ごめんなさい!」俺は慌てて手のひらを合わせて拝む仕草。