Fahrenheit -華氏- Ⅱ
ピンポーン
インターホンを鳴らすと
『はい』と不機嫌そうな答えが返ってきたものの、一応迎え入れてくれる気があるのかエントランスの扉が開いた。
「んだよ、こんな時間に」
裕二は部屋着なのだろう、白黒ボーダーのカットソーと、濃いグレーのスウェットズボンと言う格好で不機嫌そうにドアを開けてくれた。
「嘘だと言ってよ、ジョー」
眉を寄せて思わず呟くと
「だから、それ古いっつうの。今度は何?てかずぶ濡れじゃん、どしたのお前」
裕二は怪訝そうに目を細めた。
「……色々あって…」
「色々?」裕二は何か聞きたそうにしていたが、
「ま、入ったら?そのままだと風邪ひくぜ」と言いすぐに部屋の中に入れてくれた。
話を聞く前に、と言った感じで裕二はシャワーを貸してくれた。
「そのままだと風邪ひくぞ」といつになく優しい裕二。
お言葉に甘えてシャワーを浴び、その熱い熱が、心の奥にくすぶっている嫌疑を流してくれていって……
は、くれそうになかった。
裕二は自分の部屋着を貸してくれて、ついでにずぶぬれになった俺のスーツやズボン、ジレをハンガーに吊るしてドライヤーまで掛けてくれている。
「………」
「何だよ」裕二が訝しそうに眉を吊り上げる。
「いや、お前いい主夫になれるぞ」と冗談を言える辺り、ちょっと回復したってことだよな。