蒼空で。
…あれ?

暫くしてこの違和感に気付いた。
顔を隠しているからなのかすぐわからなかったが、徐々に体が上昇している。

「あの、どこに行ってるんですか?」

「もう着いた。」

え?

顔を上げると同時に、ガチャリという金属独特の音を奏でながら扉が開いた。

そこには……






「………庭…?」

そう、庭だ。

でも、病室は3階だし、下に降りた感じはしなかった。上に上がった感じはしたけど。


「雄進さん、ここ…?」

「ん、屋上。」

病院から出てないだろ?といたずらが成功した子供のように笑う雄進さん。

…もう、わたしはどうしてもこの人には勝てないんだろうな。


久しぶりに見た空以外の景色は、やっぱり綺麗で、柔らかな風が優しく頬を擽る。

「気持ちいい……」

「ここだったら、大丈夫か?」

外に出たくないと言ったわたしの言葉を気にしているのだろう。
その声はいつもの自信に満ち溢れているものではない。
強引に連れてきた事を少しは気にしてるのかな。
意外と可愛い一面が見れて、来て良かったなと思った。


「…今度は私も歩いて来ます。」

「ああ、そうだな。」

ふっと優しく笑った貴方と、この景色をそっと胸に焼き付けた。
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