同窓会
「そんな緊張しなくて良いから。」

ガチガチになっている私とは違って、大石くんはリラックスしているように見える。

「俺はもっと片桐のこと知りたいし、俺のことも知って欲しい。それだけだから。」

そう言われて思う。

私は大石くんのことをあまり知らない。

高校の時、何度も話す機会はあったけど、緊張して何を話せばいいか分からなくて、結局いつも何も話せなかった。

「片桐って女子の前ではよく笑うのに、俺の前じゃなかなか笑ってくれなかったよな。」

「え、そうかな?」

私は大石くんと同じ会話の中に入れた時、いつも幸せで、嬉しくてずっとにこにこしていたと思っていた。

「山瀬とかと楽しそうに話してる時の笑顔はなかなか見られなかったんだよ。」

梨恵とは小学校からの友達で、一緒によく悪戯もしたから、梨恵といる時は子ども時代に戻っちゃうんだ。

「あの笑顔がずっと頭から離れなかった。」
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