同窓会
「お前、教えてくれれば良かっただろ。」

大石くんが不満げに言う。

「自分の力で掴み取ってこそ、価値があるだろ。」

佐伯くんの目には、私たち二人がどんな風に映っていたのだろう。

それをどんな気持ちで見ていたんだろう。

誰にもバレないように隠そうとしていた私の姿はどんなに滑稽に見えたんだろう。

「それに、お前の場合、第3者が口出すと余計に拗れそうだったし。」

佐伯くんは大石くんを見て、余裕たっぷりな口調で言った。

「もっと素直に恋すればいいんだよ、恭也くん。」

大石くんは完敗といった様子で、ふらふらしながら空いてる席に座った。

「片桐さんも、恭也の隣座れば?」

佐伯くん、完全に面白がってる。

この人には敵わないな、なんて思いながら空けてくれた席に大人しく座った。
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