私はヤクザ



「椿・・・。お前・・・。別れてどうするんだ??」

『まだわからない。だけど・・・。智のことも智の家族もサクラちゃんも・・・。
命がけで私が守る。』

「智の心にいるサクラってやつも守るっていうのか??」

『もちろん。誠也・・・。私の決意見てくれる??』

「えっ・・・??」

私は誠也の前で上半身の服を脱いだ。

「おっお前何やってるんだよ!!」

『誠也。目開けて??ちゃんと見て。』

「・・・。おい・・・。まじかよ・・・。」

誠也が驚くのも無理はない。
私の背中には一生消えることのない刺青が入ってた。
それも背中全体に・・・・。龍に囲まれた『桜の花』が・・・。

『驚いた??私ね・・・。誠也にだから話すけど・・・。智と美桜さんのことが分かってから決めてたの。私は龍のように強くなって桜の花びらが散ってしまわないように守ろうって。』

「・・・智には言ったのか??」

『今から言いに行く。』

「そうか・・・。椿・・・。俺は生まれてからずっとお前だけを守ると決めていた。
死ぬまでずっとだ。だから・・・。智たちを守るお前の命を俺は守る。
椿は一人じゃない。」

『誠也・・・。ありがとう・・。』

私は流れる涙を隠すように智の家に向かった。

智の家まではさほど遠くないのになんだかとても・・・とても・・・長く感じた。

でも私は多分感じていた。いつかこの日が来ることを・・・。

大丈夫・・・。
智と別れても・・・。

だって私は佐山組の組長だから。

私には守らなければいけない命がたくさんある。

だから私は負けるわけにはいかない。
この命に代えても・・・。

それが私の宿命・・・。


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