私はヤクザ

訪れ




智と別れてから月日は流れ・・・

赤ちゃんは6ヶ月になった。

お腹もだいぶ目立ってきた。

そして松川組と約束をした日から4ヶ月が過ぎた。

七海と相模は順調に付き合っている。

でも私が泣きはらした目をして帰ってきたあの日から2人は私に遠慮するようになった。

そうなるのが嫌だったのに・・・。

だから私は相模と七海がいる部屋に行った。


『今いい??ちょっと2人に話があるの。』


「組長!!大丈夫です!!」


『なんで2人は私に遠慮してるの・・・?』


「・・・!!椿!私たち別に遠慮なんて・・・。」

七海はその先の言葉を私には言えなかったんだろう。

・・・・遠慮なんてしてないよ。

こんな小さな嘘でさえ七海は私に言えなかった。
そうさせていたのは私だった。

いつもの七海ならこんな誤魔化すような嘘冗談交じりで私に言ってくれるのに。

その優しい嘘でさえ私を傷つけると思っているんだよね・・・?


『・・・・。七海。ごめんね???
こうなるのが嫌で私。あの日何も言わなかったのに・・・。』


「ごめん!!椿・・・。私・・・。」

そんな泣きそうな椿の肩を今にも抱きたそうな相模の手が視界に入った。


『相模。何を遠慮している。お前の優先順位は誰だ。』

私の言いたいことが分かったのか、相模はそっと七海を抱き寄せた。


「椿・・・。椿は智くんと別れてから笑わなくなったね。
なんで??なんで私に何も言ってくれなくなったの・・・?」


『七海。ごめんね??
七海を悩ませたくないから。
ごめんね。もう誰も不幸にさせたくないの。』

私はそう言うと、七海の言葉も聞かずに部屋に戻った。


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