桜の木の前で
「ふふ。池をみてみて?」

「池?」

無月は不思議そうに池を覗く。

「これは・・・なんで遠くに居る君が見えるんだ?」

「術をかけたのよ。私たちのことをいつでもあなたが見えるように、ね」

「桔梗・・・・」

「泣いちゃってごめんなさい。でもね、私たちこれからがスタートよね?またいつか会える日まで私まってるわ。」

「ああ。」

「私がおばあちゃんになってもきっとあなたは若いわね。だけど目をそらしちゃいやよ?」

わたしは笑いながら告げる。

「ああ。」

「ねえ無月?なんでこっち見てくれないの?」

「池が綺麗だから・・・」

そういう無月の肩がかすかに震えていた。
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