占い師の恋【完】
「お腹減った。ご飯食べよっか」
「…確かに。」
――…青に言われて気付いたが。
確かに朝からバタバタとしていて何も食べていない。
そう思ったら途端に鳴りだす正直な私の胃袋。
「ね。…行こう」
くすりと小さく笑って、そっと私の腕を引くと近くにあったファミレスに入った。
ドアが開くと客が来たことを知らせるベルが店内に鳴り響く。
10秒もしない内に、女の店員さんが見事な営業スマイルをつくりあげて近寄ってくる。
「いらっしゃいませー」
まさに猫なで声。
うん。視線はばっちりと私の隣の男を捕らえてる。
「2名…様ですか」
私に向けられた品定めでもするような瞳に、思わず一歩後ずさってしまった。
「はい。案内、お願いできる?」
「はいっ!こちらへどうぞ~」
青の、優しい(ツクリモノの)声に目をハートにした店員さんはすぐに席に案内してくれた。
どうも、何て完璧なスマイルで言って小さく片手を挙げた青にぼそりと
「……キモ。」
勿論、当の本人に聞こえるように。
「茉希…ハッキリ言わないで、傷つくから」
「キモい。作り笑顔がはんぱなくキモい。」
「……。」
黙ってしまった青は無視で、メニューへと視線を移す。