占い師の恋【完】




いきなり人の唇奪う男の方がおかしいんだ。

私は被害者。
私は被害者。
私は被害者…。


「茉希は、嫌だった?」

「……どういう意味よ。」

ゆっくり顔を上げて真っすぐその瞳に私を映す青に、ちょっと尻込み。


「俺にキスされるの、嫌だった?」

「…。」

黙ってしまった私を見て、艶やかに笑った青。

(…しまった、)


そう思ったときにはすでに遅し。青の体がずいっと迫る。

逃げようとした体は離れる前に腰へと回された腕によって阻止されて。



「逃げんなよ。」

「っ…、離、せ!」

「嫌なら……、」


角度を変えて近づく顔。


「嫌なら、…拒め。」

…拒め。拒め。拒め。
ここで拒まなきゃ、私きっとダメになる。自分の気持ち、わかんなくなる。

流されちゃダメ。
押し返せばいい、殴ればいい、いつもみたいに罵ればいい。


初めて会ったときに言ってたじゃない。

人を好きに゙なろうとしない゙んじゃなくでなれない゙んだって。


そんな男、ろくでもないに決まってる。



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