angel ring
妊娠
優と付き合って二年…


あれから変わったのは名前の呼び方くらい。



それだけで後は何も変わっていない。


小さな事で喧嘩する事もあるけど

それなりにうまくいっている。



この日も優と部屋でまったりデート。

その時メールの着信。

【今日3200gの元気な女の子を出産しました!】

高校の時からの友達。あみからのメール。

「あみ生まれたんだぁ〜いいなぁ〜!!」

23才にもなるとまだ若いけど結婚したり、子供を産んだりする友達が多い。

友達の子供とか見ているとすごく可愛くてうらやましくなっていた。





それから数日後…

デート中

優が何気なく煙草に火をつける

「…うっ…」

いつもはなんともない煙草の匂い

今日はなんかダメ…

「どうした?」

優が心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「うん…大丈夫…」

「本当に平気?」

「うん!平気だから心配しないで」

笑顔で返事はするものの、内心不安だった。


生理も遅れてたし…

匂いだけでこんな吐き気がするなんて…

私は真っ先に妊娠を疑った…




帰り道、ドラッグストアで買った検査薬。

(ここに線がでたら陽性かぁ…)

不安な気持ちの中私は検査薬を使った。



目を閉じて心を落ち着かせる。

……………。

それから私は、そーっと目をあけた。

「あっ…!」

そこにはくっきりと線が浮かび上がっていた。



私は急に怖くなってきた。

自分の心臓の音だけが聞こえる。



私はそっとお腹に手をあててみる。

ここに赤ちゃんがいるんだ…

私はひとつの命を預かっているんだ…

急に大きな責任感を感じた。


次の日

私は産婦人科を訪れた。


「妊娠6週目ですね」


分かってはいたけど…医師の口から聞くとまた違う感覚。

医師はまだ若い私に次回までに出産を希望するか決めて来て下さいと言った。

私の気持ちは決まっていた。


私のお腹にやどった命だもん。

まだ本当に小さいけど…ひとつの命にはかわりはない。


私は産みたい…

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