angel ring
出産
初産は予定日より遅れる事がよくあると聞いた事があった。

実は私も予定日を一週間も過ぎていた。



そんなある日の朝。



生理痛の重いような痛みが不規則に続いていた。


陣痛の前触れ…


(もうすぐ…この子に会える…)


あんなに怖いと思っていた出産を私はいつの間にか、待ち侘びていた。


夜になって痛みの間隔が6分になり、産院に連絡をした。

予定日も過ぎていたため、このまま入院をする事になった。


痛みの強さもだんだん強くなっていく…


「んっ…ふぅー、ふぅー」

つい呼吸が止まりそうになるが、痛みを紛らわすかの様に大きく呼吸をする。


陣痛の時、息を止めてしまえばお腹の赤ちゃんに酸素がうまくいかなくなってしまう…

だから呼吸だけを意識していた。




陣痛の波は5分感覚で順調に進んでいた。


ところが3分感覚になるとなかなか進まなくなってしまった。


そして陣痛で眠れないまま次の日を迎えた…。


この日も陣痛はいい波がきているものの子宮口がなかなか開かない状態が続いていた。


すごく辛かった…

苦しくて涙が出る…



(赤ちゃんも苦しいんだ…私も頑張らなきゃ…)



そう自分に言い聞かせて陣痛に耐え続けた。


ところがこの日もあまりお産が進まないまま次の日を迎えてしまった。


まる二日眠れない状態…

私の体力もかなり消耗していた。


そこでやっと陣痛促進剤を使用する事になり、薬を点滴した。


陣痛の感覚が狭まり痛みがどんどん強くなる。

腰の骨が砕けるように痛い…


「んーーーっ…」

声がもれる…


「玲…辛いな…頑張れもう少しだからな!」

優が私の手をにぎってくれている。

優の手には私の爪あとがくっきりのこって赤くなっている。

痛いはずなのに優はその手を離そうとはしなかった。


子宮口全開…


もう歩けない私を優と看護師さんが引っ張るように分娩台へ…



「玲…頑張れ!!」



< 20 / 38 >

この作品をシェア

pagetop