《続》ポケット






「んー、あっつーい」










飛行機から降りてから私達を出迎えてくれたかのように吹く風が、終わったはずの夏を思い出させた。









「ふぁーあ、よくそんな元気でいられるねー」








……そりゃあ、もう。





さっきはる君の背中で寝たから、バッチリ。










と欠伸をしながら伸びをする千夏に心の中で答える。








大体の人はみんな飛行機に乗ってから、最初ははしゃいでいたものの、数分立てば寝息ばかりが耳に届いて。










ただひとり、私だけは飛行機の中から見える外の景色を楽しんでいた。








「最高に楽しまなきゃね、沖縄!」








と広がる空に叫ぶと、







「歩夢、楽しみにしてたもんね」









と両手で重たそうに、荷物を抱え言うあかりちゃん。











その横から日に焼けた黒い手が、スッと出てきて荷物を奪った。
< 40 / 42 >

この作品をシェア

pagetop