《続》ポケット
「んー、あっつーい」
飛行機から降りてから私達を出迎えてくれたかのように吹く風が、終わったはずの夏を思い出させた。
「ふぁーあ、よくそんな元気でいられるねー」
……そりゃあ、もう。
さっきはる君の背中で寝たから、バッチリ。
と欠伸をしながら伸びをする千夏に心の中で答える。
大体の人はみんな飛行機に乗ってから、最初ははしゃいでいたものの、数分立てば寝息ばかりが耳に届いて。
ただひとり、私だけは飛行機の中から見える外の景色を楽しんでいた。
「最高に楽しまなきゃね、沖縄!」
と広がる空に叫ぶと、
「歩夢、楽しみにしてたもんね」
と両手で重たそうに、荷物を抱え言うあかりちゃん。
その横から日に焼けた黒い手が、スッと出てきて荷物を奪った。