君がいるということ。
前のドアが開く音がする。
独特の存在感で生徒を座らせながら、教師が入ってきた。
ざわめいていた教室がポイントごとに静まっていき、まるで詩花と臣のところにだけスポットライトが当てられているように際立った。
「竹中。早く教室に戻れ」
日本史の先生のドスの利いた声で、さらに二人は注目の的になった。
臣は詩花の手の上の四枚のカードに手を乗せ、ポンポンと叩くと、「また放課後な」と詩花に笑いかけ、痛いほどの注目を浴びたまま、教室を去っていった。