秘密のMelo♪y⑤*NY編*

一枚上手だった親父さんはそう丸め込み、真裕が唖然としている間に「じゃ、手続きの続き行ってくる❤……手続きの続き、だって。ぐふふっ」…とオヤジギャグ全開で逃げるように行ってしまった。


「……えー……?」


きょとんと考え込む真裕がなんとなくかわいそうなので、理解する暇を与えさせないことにした。


「荷物はそれだけか」


「え? あ…うん」


「これ着ときな。外は寒いぜ」


「ありがとう」


…ほらもう忘れた。

…本当だな。なんだこの扱いやすさ。

『あいつ相手にはひたすらごまかすに限る。…どうせそのうち忘れるし』…ってあいつ言ってたしな。

……それにしても。

真裕関係だと、なにかにつけて楓を思い出すな。

あいつ……もはや真裕の一部だったんだな…。


『な、マヒロ。これとこれだったらどっちがいいと思う?』


『どっちでもいいんじゃない』


『適当!?Σ』


…そりゃおめェ…。

どっちでもとしか言いようがねェだろうぜ。

なんだその手に持ってるのは。

飴か。また飴か。

しかも顔がついている。その表情が違うわけだが、どっちがいいかと真裕に聞いて斬り捨てられ、その顔はどちらも笑っているのに、泣いているように見えた。


『じゃあ…俺こっちにするよ…。はいマヒロ』


『いらね』


『え!?Σ』


< 129 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop