秘密のMelo♪y⑤*NY編*
一枚上手だった親父さんはそう丸め込み、真裕が唖然としている間に「じゃ、手続きの続き行ってくる❤……手続きの続き、だって。ぐふふっ」…とオヤジギャグ全開で逃げるように行ってしまった。
「……えー……?」
きょとんと考え込む真裕がなんとなくかわいそうなので、理解する暇を与えさせないことにした。
「荷物はそれだけか」
「え? あ…うん」
「これ着ときな。外は寒いぜ」
「ありがとう」
…ほらもう忘れた。
…本当だな。なんだこの扱いやすさ。
『あいつ相手にはひたすらごまかすに限る。…どうせそのうち忘れるし』…ってあいつ言ってたしな。
……それにしても。
真裕関係だと、なにかにつけて楓を思い出すな。
あいつ……もはや真裕の一部だったんだな…。
『な、マヒロ。これとこれだったらどっちがいいと思う?』
『どっちでもいいんじゃない』
『適当!?Σ』
…そりゃおめェ…。
どっちでもとしか言いようがねェだろうぜ。
なんだその手に持ってるのは。
飴か。また飴か。
しかも顔がついている。その表情が違うわけだが、どっちがいいかと真裕に聞いて斬り捨てられ、その顔はどちらも笑っているのに、泣いているように見えた。
『じゃあ…俺こっちにするよ…。はいマヒロ』
『いらね』
『え!?Σ』