秘密のMelo♪y⑤*NY編*
―――……
「おえー」
『ちょっとだいじょおぶマヒロ?』
「うえー」
『んもう…。ご飯くらい、食べられるようにならなきゃ』
「うえっほ」
翌日…。
朝っぱらから、いつもの光景が繰り広げられていた。
真裕は退院してからもずっと、食事を口にしていない。
どうしても受け付けないらしく、ひどいときはすぐに吐いてしまう。
病院でもほとんどなにも食べられなかったし、急には無理だろうからと、好きなフルーツから徐々に胃を慣れさせているわけだが…。
「これいらない」
『容赦なッΣ』
…相変わらず、普通の飯は無理なわけで…。
「おなかすいた」
『わがまま!?』
「シュンそれかえしてー」
「こんなもんばっかじゃそのうち栄養失調で死ぬぞ」
「いいじゃないの別に。あの人が連れてってくれるなら」
『馬鹿かお前、ある種の禁句だぞそれ!』
「あ…」
いや…つい。
口が滑ったというかなんというか…。
真裕の前で『死』という言葉はどんな状況下でも口にしちゃいけない。
それが軽いノリでも、軽いノリで返してくるのだ。