秘密のMelo♪y⑤*NY編*
「ねーシュンー」
「ああ…もう、わーったよ」
今にも、フォークでカンカン机を叩きだしそうだ。
今いるのはベッドで、机などないわけだが…。
しかし万一にもそんな幻覚が見えてはいけないので、手に持ってポンポン投げていた梨を手渡した。
「はいっ」
『はい……って?』
「……」
『……』
そしてそれを受け取った真裕は、そのまま嬉しそうにメイリーに差し出した。
切れ…と。
皮を剥け…と。
そういうわけだな。
『くれる…』
「じゃあじぶんでやる」
『ちょ、冗談よやあねっ』
焦ったように笑いながらパシッと真裕から梨を奪い取るメイリーは、この間言っていた。
『マヒロに刃物持たせたら、色んな意味でヤバいわ』
…と。
なんでも、そのまま血迷って自分の喉元に突き付けるか、扱い方が分からない故に危うく指を落としそうになったり人を刺しそうになったり…。
…ホントに厄介なやつだな。
「ねーだってまおもくだもの…」
『いいのよいいのよ藤峰家のお嬢様が、包丁なんて使えなくたってなんの支障もないわよ』
「むー…」
不満そうな真裕をなんとかたしなめようとするメイリーが、妙におかしかった。