秘密のMelo♪y⑤*NY編*
げんなりした表情で受話器を手に取り、坂本さんというメイドに助けを求めた真裕は、そのままずるっとソファに倒れ込んだ。
『マヒロ!』
「はあぁ~……」
『ちょっとマヒロー…無理しないでよ?』
「うんー…」
ハディに言われて頷くも、顔色は良くない。
一ヶ月ほど、寝たきりに近い状態だったからな…。
動くのはそりゃつらかろう。
「失礼します! お嬢様!」
「坂本さーん…これ片付けといて。あとあれら見といてあげて。それからお水ちょうだい」
「はい、お嬢様」
ぺらぺらぺらっと、あれこれ指差しながら早口で言ったにもかかわらず、彼女はにっこり笑顔で頷くと、てきぱきとすべてをこなしてしまった。
「さ…お休みください。琥珀ちゃんと梨音ちゃんのことは坂本にお任せくださいな」
そして真裕をベッドに寝かせ、最後にそう言って頭を下げ、琥珀と梨音を連れて部屋を去っていった。
『……ゆ、優秀なのね彼女』
「ふふ…。メイド歴十二年だわよ」
『十二年!? 彼女何歳よ?』
「確かねー、今年二十四歳じゃなかったかな?」
『てことは…十二歳から使用人やってんの!?』
「そおだよ。坂本家、神崎家、野木家は代々うちに仕えてる家とかで、嫡子はみんな小さな頃からうちで働くの」
『へえー……す、すごいわね』
感心したようにメイリーが呟いた直後には。
『あ…ら…』
真裕はもう、目を閉じていた。