秘密のMelo♪y⑤*NY編*

『マ……マヒロ!?』


メイリーの携帯が、手から滑り落ちた。

その音は思いのほか廊下に響き、そして中にまで届いたらしい。


慌てたような声と足音が近づいてきて、あたしは反射的に地面を蹴っていた。


―チャッ


曲がり角を曲がった瞬間に、扉が開く音が聞こえたものの、間一髪姿は見られてない。


『マヒロ…?』


小さくそんな声がした気がしたけど、気にしてなんてられなかった。


さっきから、あたしの頭の中をリピートする言葉。




『カエデは生きてるかもしれないって…!』


『なのにその逆を裏付けるって…!』




生きてるかもしれない……その逆?

その逆を、裏付けた?


それは…つまり…。



「…っ…!」



…やっぱり、あの人はもう……いないって、ことだよね…?



「っう……ん…!!」


…どこかで信じていなかった。

疑っていた。

あの人がいない今という現実。

これが本当に本物で、現実なのか。

疑っていた。


だけど……それを確実にされるなんて…。


「かっくん…!」


いやだよ……。


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