秘密のMelo♪y⑤*NY編*
楓の愛はハンパなかった
―――……
『ま……マヒロ…?』
あれから部屋にこもってしまったあたし。
ものすごく遠慮がちな声が、扉の向こうから聞こえる。
『あのー…開けてもいいかし』
―どすっ
『だ、ダメって…! あきらかなんか投げつけたわよ今…!?』
…別にリジュ達はなんにも悪くない。
拒否する理由だってない。
だけど、顔を合わせづらいじゃない。
あたしが聞いていたことを知って、こうして来てくれてるわけだし…。
だってなんて言えばいいの?
『やあっ。奇遇だねこんなとこで会うなんてっ』
……それか…。
『分かってた…分かってたの…。何も言わないで…』
……。
「はあ……」
どれもあり得ない…。
なにもなかったようにするにも限界がある。
かといって思いっきりしんみりするのも…。
「あああ…」
投げつけたクッションをこそっと拾ってから、布団の中に隠れた。
『あー…んじゃあ、またあとで来るわね…ははは…』
やがてそんな言葉と共に、足音が遠ざかっていった。
悪いな…と思ったけど、それよりも動揺が勝っていて。
どうしていいのかただわからずにいた。