秘密のMelo♪y⑤*NY編*
なぜだか言いようのない不安にかられ、キュッと胸のところを握りしめた。
「どうしたの?」
「……うん…」
椅子に座って優しく問うりんりんに、ぽつりぽつりと話した。
ここ最近、眠るたんびに見る夢。
その中であたしはいつも、かっくんを呼んで泣き叫んでる。
なんだろうって考えると、頭が痛くなるの。
恐怖に身体が震えるの。
あれはやっぱり……。
「まお…あなたまさか…」
「え…?」
「……ううん、なんでもない。…夢よ夢っ。…あんなことが……あったから…。だから怖い夢、見るのよ…」
最初はひどく驚いた顔をしていたりんりんだったけれど、すぐに持ち直して、今度は遠慮がちにそう言った。
「そう、かな…」
「そうよ。だから気にし過ぎないの! ね、それより桃食べない? 好きでしょ?」
「……うん」
「ん! じゃ、待っててね。ナイフとかとってくるわ」
りんりん達が持ってきてくれた籠の中の桃を指差して言い、笑顔で病室をあとにしたりんりん。
ナイフ……そこにあるじゃん。
気付いてないのかな?
そう思ったけど、あたしはあいにくナイフなんて持ったこともないし、まともに使えないのでどうしようもない。
料理……覚えようって思ったのにな。
ほんの少しでも覚えよう…って。
なのに……。
「…食べてくれる人がいなきゃ、意味ないよ…」