鏡の向こう


“紗香ちゃん、
なんかあったでしょ。”


心配そうな声に、


『ん~?ないよ。』


嘘で返す。


“ある。”

『な~ぃ。』

“絶対ある。”

『絶対ない。』

暫く言い合いを続けていると、

“俺じゃ、頼りない?”


不意に寂しそうな声が聞こえた。



ドキッ。



そんな不意打ち、



反則……。




私は意を決して、
口を開いた。


『あのね、』


ピンポーン♪


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