鏡の向こう
「お前、誰だよ。」
やつが拓海を睨む。
「紗香の彼氏。」
「はぁ?!」
「てめぇ、人の彼女何泣かせてんの??」
ゾクッ。
いつもは優しい拓海が、
凍りつくような瞳で、
冷ややかな声で、
やつに問いかける。
こんな拓海、
初めて見た………。
「……。」
「謝れ。今すぐ。」
「はぁ???!
なんで俺が女なんかに謝んなきゃいけねーわけ?」
やつは、拓海に怯えながらも、
あり得ない。とでも言うように、反論した。