鏡の向こう


『……これっ…、』



私は思わず、
口元を押さえた。



小さな文字で、
記してあった。


“ふたつの世界を重ねたくば、
其の命を代償とする。”



……拓海は、
自分の命を捨てて、
私を助けてくれたんだ。



『……ばか。』


ポタッ。


『ばかばかばか…っ!!』


なんで??

なんでここまでしてくれたの??


自分の命を捨てて。



ほんとに、ばかだよ。


< 92 / 109 >

この作品をシェア

pagetop