今日からfamily!?
シーンと静まり返った部屋に突然電話の着信音が響き渡った。
それはローテーブルの上に置いてある颯先輩のケータイから発せられている。
だけど颯先輩は少しも動こうとしない。
だからあたしは颯先輩のケータイを掴んで差し出した。
「鳴ってますよ?」
「あぁ」
返事はするものの颯先輩はやっぱり布団に潜ったまま。
その間も着信音は鳴り止まない。
「出ないんですか?」
「…誰から?」
「“タケル”?」
画面に表示された名前を伝えると、颯先輩はモソモソと右手を延ばしてきた。
その手にケータイを渡すと颯先輩は布団に潜ったまま電話に出た。
「何?――――あ?ちげーし。――――ちげーよ風邪引いてんだよ」
颯先輩が電話をしている間、あたしは何だか手持ち無沙汰でやっぱりベッドの脇で体育座りをした。
「行かねーって。―――――勝手にやってろ。じゃあな」
颯先輩は電話が終わるとケータイを枕元に置いた。