藤井先輩と私。

それから数時間経って、夜10時。

お風呂に入って、自室でマンガを読んでいた私。
この前買ったばかりの漫画で、学園ラブコメディ。
テレビでコミックランキングの上位に入っていることを知って、買ってみた。

読んでみるとなかなかおもしろくて、両思いなのにくっつかない主人公たちにやきもきさせられる。



『太郎さん…彼女いたんだ』


街中で、女の子と楽しそうに笑う太郎を見かける主人公花子。


『なんで彼女いること黙ってたんだろう』

一緒にいた友達の前で涙ぐむ花子を、友達幸子が優しく慰める。



「この感じ…私も分かるかも…」


どうして共感できてしまうのか分からない。

花子と幸子が、私とユカに見えた。



数ページ進むと、太郎と一緒にいた子は、太郎の妹で花子の早とちりだった。


「なぁんだ…よかった」




漫画の世界の事なのに、自分の事のようにほっとしてしまう。


私なんだかやっぱりおかしいな。


 











ピロリロリン♪


あ、メールだ。

ユカからかな。

ベットに放り投げていた携帯に手を伸ばすと、サブディスプレイの文字に私の体は固まった。





≪藤井 悠太≫










藤井先輩?


 

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