藤井先輩と私。

お昼休みが終わって、午後の授業が始まると、私は楠木さんが私を睨んでいた事をすっかり忘れてしまっていた。

放課後になり、ユカは委員長と図書館へ、ジュディは隣のクラスのレオのところへ行って、私はしかたなく一人で帰ることに。


鞄を持って立ちあがろうとしたところ、後ろから「あのっ、橋宮さんですよね?」と声をかけられた。



振り返ると、話した事がない他クラスの女の子が立っていた。


「えっと…」


誰ですか?って聞くのは失礼かな。

もしかして一回くらいはしゃべったことあるかもしれないし…。


私が悩んでいると、その女の子は両手を私の前に突き出した。


手には白い紙きれが一枚。



「楠木会長に頼まれて…これ渡してくれって。…じゃ、渡したから」


無理矢理私にその紙きれを押しつけると、彼女は走り去っていった。



楠木会長って呼んでるってことは…あの子は藤井先輩のファンクラブの人…。



…そうだ。紙きれ。


私は胸に押しつけられて、少しばかりしわの寄った紙を丁寧に広げる。







「ひっ……」







その紙には、こう書かれてあった。














【屋上で待ってる。来ないと………。夜露死苦】










   









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