風神Ⅱ
水埜さんはその時を思い出しているかのように目を閉じた。
「あの時のあたしは堂々と総長と名乗るほどの器なんてなかった。」
「………。」
「空良の憎たらしい言葉がなかったらあたしはここに居なかったかもね。」
水埜さんは女のあたしが見惚れるほどの笑顔を見せた。
「器用そうだけど不器用で、でも思ったことは貫き通す、そんなところに惚れたのかな。」
「………。」
あたしには分かりそうにない。
水埜さんは微笑んだ後、運動場に目を向けた。
「まぁ、風雅は空良よりも不器用だからね真城ちゃんも大変よ。」
どうしてそこで風雅が出てくるんだろうか。
あたしは首をかしげた。