人こそ美味 part2

「私を本当に食べない?」

永原から警戒心が取れない。

信用できないのは無理もない。

だって俺は連続殺人鬼の息子で、俺も連続殺人鬼なのだから。

でも信じてほしい。

「永原は俺にとって大切なビジネスパートナーなんだ。絶対に喰わない」

「もし食べたら?」

「死んでやる」

俺には永原を喰わない自信がある。

もし永原を失ってしまったら、女を喰らう事は非常に困難な事になってしまう。

そうなったら俺は死んだも同然だ。

「……判った。純を信じる」

「ありがとう」

心からの感謝だった。

「…これからあの女どうすんの?」

さっきの警戒心が嘘のように消えた顔で問う。

「まずは名前聞かないと」

俺は喰う女の名前や判る範囲の詳細を記録している。

棚に並べられている頭蓋骨の額部分には名前を書いたテープを張っている。

どれもが本名。

永原が言っていた“ルナ”では肉名にはならない。



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