人こそ美味 part2
髪はボブにセットされ、小顔で鼻筋の通った綺麗な顔。
睫毛が異様な長さで、不自然に毛先が上を向いている。
少々小柄だが、無駄な脂肪が無さそうだ。
「永原は俺の好みを知ってるよな」
俺はトランクの中で眠る女を見つめながら言った。
「別に。そいつがムカついただけ…」
素っ気無い言葉で返される。
「やっぱりキャバの子か…。名前は?」
永原はよく同じ職場の女を連れてくる。
理由はどれも同じ。
ムカつく女を消せる簡単な術を教えてしまったから…なのだろう。
「名前?…えっと、ルナ」
「月かよ。ってかそれ本名じゃねぇだろ」
後ろに立つ永原を見上げる。
「本名なんて知らないもん」
鉄格子に寄りかかっていた永原は爪を眺めながら言った。
「だよな…」
まぁその方がこの後楽しいから、いいんだけど。
あまり化粧はしないのに、永原の爪にはいつも色々邪魔な物が付いている。
金かけて爪に色を塗って飾りを付ける、女のその行為が理解できない。
眠る女も色鮮やかな爪をしている。
他に金の使い道は無かったのだろうか…。