人こそ美味 part2

髪はボブにセットされ、小顔で鼻筋の通った綺麗な顔。

睫毛が異様な長さで、不自然に毛先が上を向いている。

少々小柄だが、無駄な脂肪が無さそうだ。

「永原は俺の好みを知ってるよな」

俺はトランクの中で眠る女を見つめながら言った。

「別に。そいつがムカついただけ…」

素っ気無い言葉で返される。

「やっぱりキャバの子か…。名前は?」

永原はよく同じ職場の女を連れてくる。

理由はどれも同じ。

ムカつく女を消せる簡単な術を教えてしまったから…なのだろう。

「名前?…えっと、ルナ」

「月かよ。ってかそれ本名じゃねぇだろ」

後ろに立つ永原を見上げる。

「本名なんて知らないもん」

鉄格子に寄りかかっていた永原は爪を眺めながら言った。

「だよな…」

まぁその方がこの後楽しいから、いいんだけど。

あまり化粧はしないのに、永原の爪にはいつも色々邪魔な物が付いている。

金かけて爪に色を塗って飾りを付ける、女のその行為が理解できない。

眠る女も色鮮やかな爪をしている。

他に金の使い道は無かったのだろうか…。

< 9 / 142 >

この作品をシェア

pagetop