Give Me Smile―新撰組と氷姫―
疲れた。
誰でもいいから、この状況をなんとかしてくれる人は現れないだろうか。
名無しさん1人相手をするのにすごく精神的苦痛が半端ないのに、高杉さんもいるとなると…もうため息しか出てこない。
(……そもそも、あたしが悪いのか)
あの時、名無しさんと2人っきりにならなければ、こんな事にはならなかったはず。
(……いや、遅かれ早かれ名無しさんに目をつけられた時点でアウトか)
「……はあ…」
「千春、どうしたの?お腹空いた?」
「……そんなことはどうでもいいので、さっさと解放して下さい」
「嫌だ」
即答する名無しさんに腹が立つ。
人をおちょくって何が楽しいのだろうか。
イライラが募ってくるが、グッと我慢して名無しさんの腕から離れようと押しのけようとしているが、ピクリとも動かないのにまたイライラが募る。
(……だめだ、これじゃ悪循環に陥っている気がする)
はぁ、とため息を吐き、目線を下に下げる。
そこには、昨日あたしの首筋にあてがわれた…、
「……っ…」
「ん?……ああ、刀を間近で眺めるのは珍しいかい?」
「……いえ、」
名無しさんの刀があった。
ただ、ただそれだけなのに、
(………もし、あと数cmずれていたら……)
ゾクリ、と背筋に緊張が走り嫌な汗が背中に流れる。
「………名無しさんなんか、嫌い」
「え、急にどうしたの?僕だって、少しは傷ついてるんだからね」
あたしが不機嫌そうにポツリと言葉をこぼせば、名無しさんは含み笑いで答える。
……何考えてるかわからない人なんて、好きになれるわけないじゃない。