365日+1日、飾らない言葉をさがして。< 短編集 >
8、二時間の小旅行に…。
久しぶりに実家に帰ることにした。
遠くもなく
近くもない
この距離を電車に揺られていた。

なんとなく帰りにくくなっていた地元。

学生時代の友達が、
結婚しただの
子供が産まれただの
私にとっては
聞きたくもない幸せ話だらけだから
さけたかったんだなぁ。
いつも仕事を言い訳にしてクラス会も不参加に○をして、
元気にしてるよ!
とだけ書きたし参加しなかった。



報われない
引きずるだけの都合のいい、
恋愛ごっこに疲れてきたんだろうなぁ…
窓に映る自分に問いかけてみた。

二人で手を繋いで歩いてみたい。

こんな小さな幸せも出来ないのなら終わりにしたほうがいいのかな?

ホワイトムスクの香りがした。
懐かしく香りのした人に視線をうつした…
彼じゃないのに
ホワイトムスクだけで目で追ってしまった
自分の行動に笑いながら、思い出した。


私が好きになる人って、
いつもホワイトムスクの香りがする。

相手を見てたのかな?
ハツカレを求めていただけなのかな?


今の恋愛ごっこにピリオドをつける決心をした。

恋愛を他人とくらべることなんてないけど、
せめて親友には
のろけられる恋愛に出会いたい。


この二時間の小旅行。

私の人生をかえてくれた電車に

そして
ホワイトムスクの香りに
ありがとう。




end
< 23 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop