365日+1日、飾らない言葉をさがして。< 短編集 >
夜7時
早出の上に残業。
家に明かりがついてない。

あっ、舞子。
社員旅行だったね。

一人って寂しいよね。
何食べようかな?
カギを…
あれ?

開いてる?


なんかイヤな予感がした。
携帯を握りしめて玄関の明かりをつけた。

そのままキッチンへ…

朝みたのとまったく変わってしまった私の部屋。


「 いやぁ…。 」


私は私の知らない部屋の中で、
その一言しか出てこなかった。


あっ!
そうだ!
警察に電話しなきゃ。

電話…

こういう時ってわかる番号でも押せないんだね。


どれくらい時間たったのかな?

15分くらいだったと思うけど…

私には一日以上たったように思えた。


玄関の外で迷子になった子供のようにヒザを抱えて座っていた。


「 中林さんですか? 」


その声に安心して
私は涙ポロポロ。

そのあといろんな質問、
いろんな説明とかされたけど…
まったく覚えていない。


中林さんですか?
声が珀人の声にそっくりだったから、
それだけで安心した。


警察の人からの質問をされてる時に
自分を落ち着かせたい時には
いつもペンダントを触っている。


調べ終わって私の部屋からみんなが帰って行った。


一人でいるのがこわくて何もできないで、
ソファで膝を抱えて座っていた。
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