流れ星を探して
「荒田さん?」

と、蘭は聞いた。

「そうよ」

荒田香織はうなずいた。

綺麗な人――。

蘭は素直にそう思った。

背はスラッと伸び、足が長い。

長い黒髪に切れ長の目。

まるでモデルみたいだ。

こんな美人が、この学校にいたのね。

「ピーターと同じクラスよ」

唐突に香織が言った。

蘭は急にピーターの名前が出てきて、ドキッとした。

ピーターと蘭が付き合っていることは、きっと誰も知らないだろう。

ピーターはともかく、私は目立たないし誰も関心を持つものはいない。

蘭はそう思っていた。

「春にピーターが来てから、私がずっと世話役を任されてるの、担任から。学級委員なのよ」

「そう……」

確かに頭もキレそうだ。

才色兼備とは、こういう人のことを言うのだろうか。

「ピーターの家にも行ったわ。お父さんとも仲良くなってね」

「……」

「お父さんから相談されたのよ。『ピーターが最近、毎日遅く帰って来て週末も出掛けてる。留学生だから人一倍頑張らなきゃいけないのに、最近は勉強している姿を見たことがない』ってね」

と、香織は言った。



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