流れ星を探して
「……」

蘭は黙って聞いていた。

遅く帰ってくるのは、言うまでもなく蘭のせいだった。

今は日が1番長く、夜7時を過ぎてもずいぶん明るい。

つい夕暮れが迫るまで話していて、帰りが8時近くになることもある。

1度帰宅して外出するのではなく、朝登校してから夜8時まで帰らない日が毎日続けば、確かに親は心配するのかもしれない。

ピーターのお父さんが、そんなふうに心配していたとは……。

ピーターも何も言わなかったので、蘭はまったく知らなかった。

そうか……。

私には何も言わなかったけど、お母さんも心配していたのかもしれない。

蘭はそう思った。

「もう、会わないで」

と、香織は言った。

「え?」

「あなたたちが会っているのは知っているわ。でも、付き合っているわけじゃないでしょう?」

「そんなこと……」

蘭は口ごもった。

付き合おうと言われたわけではない。

約束もしない。

でも……。

お互いが好きだと思っている。

蘭はそう信じていた。

いや、信じたかった。



< 40 / 52 >

この作品をシェア

pagetop