流れ星を探して
「今度の土曜日、映画に行くの。――ピーターと」

香織は、少し間を空けて言った。

「ピーターが誘ってくれたのよ。携帯の番号も、アドレスも教えてくれたわ」

「――そう」

蘭はかすれた声で言った。

蘭は携帯の番号もアドレスも知らない。

ピーターから、どこかに行こうと誘われたことはない。

「明日は用があって来れないんだ」

そう言われたことは、2、3回あっただろうか。

蘭はすっかり混乱してしまった。

私は、付き合っているわけではなかったのか。

「会いたかった」と、私を抱き締めてくれたのはなんだったのだろう。

好きだと言われたことはない。

でも、好きでもない人と手をつなぐのだろうか?

蘭は混乱する頭で考えこんだ。



< 41 / 52 >

この作品をシェア

pagetop