龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
おっ

廊下が何やら騒がしい

よかった

あの足音は圭吾さん

機嫌が悪いときの圭吾さんの歩き方


「圭吾です。入りますよ」


ふすまをサラっと開けて入って来た圭吾さんはわたしの顔を見てホッとした表情を浮かべた。


心配していたなら、おあいにくさま

泣いてなんかいないわよ


「お久しぶりね、圭吾さん」

「伯母様も梓さんもお元気そうで。先に連絡を下さればお待ちしていたものを」

「そうね。でもほら、ここはわたくし達の家のようなものですもの。
あまり堅苦しくはしたくないと思って」

「わたし、圭吾さんを驚かせたかったんですの」

と、初めて梓さんが口を開いたのでそっちを見たら――


はい?
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