龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
「志鶴ちゃんの前じゃ借りてきた猫ね」

彩名さんが言った。

「猫より虎に近いけれど」


「黙れ、彩名」


「いいなぁ二人とも仲良しで」

一人っ子のわたしは、彩名さんと圭吾さんの言い合いがうらやましかった。


圭吾さんがすぐにわたしの肩を抱き寄せ

彩名さんは優しく微笑んで

「志鶴ちゃんも入れて三人で仲良しよ」

って言った。


「そう、これからもずっとね」

圭吾さんがわたしの頭のてっぺんにキスをした。


「彩名さんも圭吾さんも、大好き」


「彩名と同列?」

圭吾さんが不満そうに言った。

「僕は兄貴からデート相手に昇格したんだと思ったのに」
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