龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
「ひどい……ひどいわ、圭吾さん」

梓さんが立ち上がった。


確かにちょっと言い過ぎだったよね。


「わたしがこの子より劣るとおっしゃるのね? 屈辱だわ。こんな色気のカケラもないような女子高生に負けるだなんて!」


ちょっと待て!

確かに色気はないけど、他人に言われたくはないわ


「そうですよ」容子オバサンがさらにたたみかける。

「いくらお母様の、貴子さんの言い付けだからって、こんな見栄えのしない子供と本気で結婚する気なの、圭吾さん?」


見栄えしなくて悪かったわねっ!


「お二人とも」

圭吾さんがうんざりしたように言った。

「梓さんは僕以外の男には充分魅力的です。それから志鶴を選んだのは僕の意志です」
< 27 / 86 >

この作品をシェア

pagetop