龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
「それで、霊能者の女性はどうなりました?」

「彼女はあそこにいるんだけれど、連れ帰れそうにもない」


司さんが手で示した方を見る。

暗くてよく見えないので、身を乗り出してみると


「うわっ! 何あれ?」


大きな獣が女の人を抱え込んでる。

犬? 狼?


「狐だ。あの通り女性を離さない。しかも厄介なことに半分地霊に飲み込まれている」

「あのままだと?」

「女性も飲み込まれるね」


えっ? そんな平然と言われても


「わたしもあまりあちらには近づけないんだよ。取り込まれるだろうから」

「じゃあ、わたしみたいに何の能力もなければいいって事ですね?」

「志鶴さん!」


わたしは大きな狐の方に近づいた。


近くで見ると、意外にも狐は女性を守るようにそっと抱いていた。


「こんにちは」

狐はうさんくさそうにわたしを見た。
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