龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
オ前 ダレダ?

「ここの外から来たの」

オレ達モ外カラ来タ。ココハ危険ダ。去ルガイイ

「そうね。だから、その人を守っているの?」

守ッテイル、ズット ズット

「離してあげて。このままじゃその人死んじゃう」

俺ガ守ル

「無理なの、もう無理なの。後ろを見て。あなたの体は半分闇に飲み込まれている」

俺ガイナケレバ、コノ子ハ一人ボッチニナッテシマウ


女性はとうに三十歳は過ぎているだろうけど、この獣にとっては『この子』なんだ。


「きっと誰かが代わりに愛してくれるわ。だから離してあげて。死んでしまう」


狐は頭を女性にすりよせた。

わたしを抱きしめている時の圭吾さんみたいだと思った。


コレハ死ヌノカ?


狐はわたしを真っ直ぐに見た。

わたしは黙ってうなずいた。


連レテ行ケ。死ヌノハ望マヌ


女性の上の前足が引っ込んだ。

急いで女性を助け起こそうとすると、司さんの手がわたしを制した。

「わたしがやろう」


司さんは慎重に女性を抱き上げて、狐に背を向けた。
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