今、この場所で。
先にベンチに座ったアキは俺の目を真っ直ぐに見た。

直視できない俺はタバコに火をつけてアキの横に座った。
煙がアキのところに流れないように俺は夕焼けの空に煙を吐いた。


「ねぇ、ヒロ。昔はこの公園でよく遊んだね。」


「あぁ。」


愛想のない返事にアキはクスっと笑い昔話を始めた。

誕生日会…
ピアノのレッスン…


なのに俺はなにもかも忘れていた。


なぁ、アキ。ごめん。


素直に言えないけどこの心の声がアキだけに届くよう何度も祈ったよ。
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